相続した家や長く住んだ家が古いと、「直してから売るべきか」「解体した方がよいか」と迷いやすくなります。ただ、築古だから工事をしてから売るのが有利とは限らず、建物の状態と売り方は分けて考える必要があります。
地域情報メディア『しながわクリップ』のエリア担当ライター、ナオスケです。品川区には耐震診断や耐震改修、除却などの支援がありますが、制度を使うかどうかと売却方法を決めることは別の話です。
この記事では、旧耐震かどうか、雨漏りやシロアリ被害などの現況、品川区の支援制度を順に見ながら、修繕して売る方法と現状のまま売る方法を比べるための材料を整理します。

古い家ほど、工事前に売り方も比べておきたいですね
築年数と建物の状態は分けて見ておく


築年数が古い住宅でも、手入れの履歴や現在の傷み方は一棟ずつ違います。反対に、築年数だけでは見えにくい雨漏りや腐食がある場合もあります。まずは「何年経っているか」と「今どんな状態か」を混ぜないことが出発点です。
売却前に大規模な工事を決める必要はありません。査定時に説明できるよう、分かる範囲で建物の情報を集めておくと進めやすくなります。築年数だけでは売却方法は決まりません。手元の資料と現況を見比べ、次の項目を確認しておくと話が伝わりやすくなります。
- 建築時期と構造が分かる書類
- 増改築や大きな修繕の履歴
- 雨漏りや漏水を直した記録
- シロアリ調査や防除の記録
- 現在気になっている傷みや不具合
書類が全部そろっていなくても、分かる範囲からで構いません。古い住宅では修繕歴が途中で分からなくなることもあるため、不明な部分まで推測で埋めず、「分かっていること」と「不明なこと」を分けて伝える方が自然です。
旧耐震かどうかは建築時期と構造から確かめる
一般に旧耐震は、昭和56年6月1日の新耐震基準施行より前の基準による建物を指します。ただし、旧耐震だから直ちに危険な建物と決めつけることはできません。耐震性を知るには、建築時期や構造を確認し、必要に応じて耐震診断で状態を見ます。
品川区の木造住宅向け支援では、耐震診断や補強設計、耐震改修などに対象条件があります。新耐震期の一部木造住宅まで対象が広がっている制度もあるため、「古い家だから同じ制度」と考えず、建築時期と工法まで見ておきたいところです。相談時は次の情報を分けて確認します。
- 建築時期
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建築確認や登記などから、おおよその時期を確認します。
- 構造と階数
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木造か非木造か、階数や工法も制度の対象確認に関わります。
- 耐震診断歴
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過去に診断していれば、結果や改修履歴を手元に置きます。
売却を考えている場合も、耐震性を曖昧なまま断定する必要はありません。分かっている建築時期や診断結果を事実として示し、未確認の部分は未確認として扱う方が、修繕する場合にも現状で売る場合にも話を進めやすくなります。
品川区の耐震化支援は売却とは別に検討する


品川区は令和8年度も、木造住宅の耐震診断、補強設計、耐震改修、除却などの支援を実施しています。申請期限が設けられている制度もあり、対象建物や所有者の条件も異なるため、利用を考える場合はその年度の公式情報で確認が必要です。
耐震診断や改修に助成があるからといって、売却前に必ず利用した方がよいとは限りません。住み続ける予定なのか、建物を残して売りたいのか、現状のまま手放したいのかで目的が変わるからです。制度利用と売却方針は別々に比べるのが分かりやすいです。
制度の対象になりそうでも、申請期限や必要書類などの確認が必要です。売却も並行して考えるなら、工事を決める前に制度と査定を両方確認すると、使える制度と現状売却の条件を分けて比べやすくなります。
除却支援や木密地域の制度は所在地まで見る
品川区には、耐震化支援とは別に、不燃化特区など木造住宅密集地域を対象にした除却・建替え支援があります。令和8年度も制度が続いており、対象地区や建築時期、構造、所有関係などに条件があるため、住所だけで一律には判断できません。
不燃化特区では、令和8年7月から老朽建築物の除却費助成額が改定されています。一方、対象となる地区や建物は限定されています。売却を予定している場合でも、まず自分の物件がどの制度の対象なのかを公式情報で確かめる必要があります。
また、除却後の利用や建替え計画によって条件が関係する制度もあります。売却のためだけに解体を先に決めず、現状査定、除却費、助成の対象条件、土地として売る場合の扱いを並べてから進める方が無理がありません。
修繕して売るか現状で売るかは費用だけで決めない


雨漏りやシロアリ被害、設備の故障があると、直してから売る方がよいように感じるかもしれません。ただ、修繕費をかけた分だけ売却価格が上がるとは限りません。直す範囲を決める前に、現状のままの評価も知っておくと比較しやすくなります。
修繕して売る場合は、工事費だけでなく、工期や追加工事の可能性も見ます。現状で売る場合は、建物の傷みや修繕履歴を伝えたうえで、どの条件で売却できるかを確認します。どちらも金額だけでなく、手間と時間を含めて比べる必要があります。
建築時期、構造、修繕歴、不具合の状況を分かる範囲でまとめます。
耐震化や除却の対象条件を、品川区の最新情報で確認します。
修繕や解体を決める前に、現状売却が可能かと条件を確認します。
ラクウルの公式ページでは、旧耐震・築古物件を買取対象として掲載し、雨漏りやシロアリ被害がある物件も相談可能と案内しています。築年数についても不問としていますが、個別の買取額や修繕後との差は現地の状態を見て確認する内容です。
現状買取を比較に入れる目的は、急いで売却先を決めるためではありません。工事をした場合と、工事をせずに手放す場合の両方を見て、自分の物件でどこまで手を入れる意味があるかを考えるための材料にできます。
仲介と直接買取では売却までの進め方が違う
築古物件の売却では、一般の買主を探す仲介と、不動産会社が直接買う買取で進め方が異なります。仲介は市場で買主を探す方法で、買取は会社が買主になる方法です。建物の状態や売却までにかけられる時間によって、比べたい条件も変わります。
大きな修繕が必要な住宅でも、仲介が使えないと決まっているわけではありません。一方で、現況のまま買い取る会社へ相談する方法もあります。査定額だけでなく、修繕や残置物への対応、引渡し条件などを同じ項目で比べると見やすくなります。大まかな違いは次の通りです。
| 項目 | 仲介 | 直接買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 一般の購入希望者を探す | 不動産会社が買主になる |
| 建物の見せ方 | 購入希望者への説明や内覧が中心 | 会社による現地確認や査定が中心 |
| 比べたい点 | 売出条件や販売期間、諸費用 | 買取額や引渡条件、対応範囲 |
ラクウルは公式ページで自社による直接買取と案内しています。ただし、仲介と買取のどちらが合うかは、建物の状態や希望時期、価格の考え方によって変わります。一社だけで決めず、条件を並べて見る方法もあります。
現状査定の前に建物履歴と不具合をまとめる
現状のまま査定を受ける場合も、建物の状態を詳しく知っているほど話が早くなります。雨漏りがいつ起きたか、どこを直したか、シロアリ調査を受けたかなど、分かる範囲で時系列にしておくと、現地確認で伝え漏れを減らせます。
見えない場所の劣化まで自分で調べ切る必要はありません。床下や屋根など危険な場所へ無理に入らず、手元の記録と見える範囲の状況を伝えます。査定額だけでなく、残置物、修繕、解体、引渡し時期など、どの状態を前提にした提示かも分けて聞いておくと条件を比べやすくなります。
ラクウルでは、現地調査と査定の流れを案内しており、築古や雨漏り、シロアリ被害のある物件も相談対象としています。ただし、被害の程度による査定への影響や個別の買取額はページ上で一律には確認できないため、物件ごとの確認が必要です。
修繕や解体を先に決めると比較しにくくなる
築古物件で避けたいのは、「古いから全面修繕」「売りにくそうだから解体」と、査定や制度確認より前に工事を決めてしまうことです。工事費をかけても売却条件が同じだけ良くなるとは限らず、助成制度の対象確認にも順序があります。
雨漏りやシロアリの痕跡がある場合も、売却のために自分で床下や屋根へ入って状態を確定させる必要はありません。見えている不具合と過去の記録を伝え、必要な調査や修繕範囲は専門家の確認を踏まえて考える方が安全です。
また、解体すると建物付きの状態では査定できなくなります。土地として売る考え方もありますが、再建築や接道、税金など別の確認が増える場合があります。売却だけが目的なら、工事前の状態でも一度査定を取って比べておくと動きやすいですよ。
最後は制度と売却条件を並べて決める
品川区の古い住宅を売るときは、旧耐震かどうかだけで結論を出さず、建物の状態、耐震化や除却の対象条件、修繕費、現状査定を分けて見ていくと迷いを減らせます。区の支援制度は、使えるかどうかを最新情報で確認することが前提です。
修繕して売る方法、現状で仲介する方法、直接買取を相談する方法には、それぞれ進め方の違いがあります。工事をする前の状態で複数の条件を比べるだけでも、先に費用をかけるべきか、現状で手放すかを考えやすくなります。
築古だから売れない、旧耐震だから必ず解体という話ではありません。物件所在地と建物の状況を一つずつ確かめ、行政の支援と売却先の条件を混ぜずに見ていけば、次に何を確認するかが見えやすくなります。













