自宅や相続した家で人が亡くなっていると、「事故物件になるのか」「何を伝えて売ればよいのか」が気になります。死亡事案は内容によって確認事項が変わるため、ネット情報だけで告知の要否を決めないほうが動きやすいでしょう。
地域情報メディア『しながわクリップ』のエリア担当ライター、ナオスケです。品川区には不動産取引相談や法律相談がありますが、売却を引き受ける民間サービスとは役割が異なるため、使い分けて考えます。
この記事では、人の死に関する国のガイドライン、品川区で使える相談先、仲介と直接買取の違いを分けて整理します。

呼び方より、まず事実関係をそろえると動きやすいですよ
「事故物件」と決めつけず死亡事案の内容を分けて考える


人が亡くなった物件が、すべて同じ扱いになるわけではありません。国土交通省のガイドラインでは、死因、発生場所、特殊清掃の有無などを分けて、宅地建物取引業者が告知を考える基準を示しており、呼び名だけでは決められません。
そのため、家族が自宅で亡くなったという一つの事実だけで、「必ず事故物件になる」「必ず告知が必要」と決めるのは避けたいところです。まずは何が起きたのかを事実としてそろえ、呼び方と告知の扱いを分けて考える必要があります。
売買での告知は国土交通省のガイドラインを基準に確認する
国土交通省は、対象不動産で発生した自然死や日常生活中の不慮の死について、特殊清掃がない場合は原則として告げなくてもよいと整理しています。ただし、事件性や周知性など特別な事情もあり、個別事案まで一律に決める内容ではありません。
一方、売買取引では、自然死などでも特殊清掃が行われた場合や、それ以外の死があった場合は、相手方の判断に重要な影響を及ぼすかを踏まえて扱います。売買と賃貸では告知の整理が異なります。
賃貸で示される「おおむね3年」という考え方を、売買へそのまま当てはめるのは適切ではありません。また、買主から死亡事案の有無を尋ねられた場合などは、経過期間や死因だけで判断しない扱いが示されているため、個別確認が必要です。
売主側で死亡事案と室内状況を時系列にそろえる


相談前に必要なのは、法律用語へ当てはめることではなく、確認できる事実をそろえることです。亡くなった場所や時期、発見までの経緯、清掃や修繕の有無などを、分かる範囲で時系列にしておくと説明しやすくなります。
特に相続物件では、売却を担当する家族が当時の状況を詳しく知らない場合があります。推測で補わず、分からない項目は分からないまま区別しておくほうが、後で説明内容が食い違うのを避けやすいでしょう。
相談時には、次のような情報を分けておくと話が進めやすくなります。
- 死亡事案
-
発生場所、時期、把握している死因や発見までの経緯を分けて記録します。
- 室内の対応
-
特殊清掃、修繕、原状回復などを行った場合は、内容と実施時期を確認します。
- 現在の状態
-
残置物の有無や立ち入り可能な範囲など、査定時に見てもらう状態を整理します。
この段階で「告知不要だろう」と結論を出す必要はありません。事実関係をそろえたうえで、不動産会社や必要に応じた専門相談へ持ち込み、個別の扱いを確認する流れが無理のない進め方です。判断を急がず、確認先を分けて考えます。
品川区では不動産取引相談と法律相談を使い分ける
品川区の区民相談室には、宅地建物取引士による不動産取引相談と、弁護士による法律相談があります。令和8年度の案内では、区内在住・在勤・在学の個人が対象で、専門相談は原則として予約制です。相談内容に合う窓口を選びます。
不動産取引相談では土地建物の取引や契約などを相談でき、法律相談では相続や借地借家を含む法律問題を扱っています。ただし、区の相談は助言の場であり、物件の売却を代行したり、相談員がそのまま受任したりする場ではありません。
告知の要否を自分だけで決めないことが大切です。事実関係をそろえて公的相談や専門家へ確認したうえで、仲介で買主を探すか、直接買取を検討するかという売却方法へ進むと混同しにくくなります。
仲介売却と直接買取では売却までの進み方が違う


一般的な仲介売却は、不動産会社が販売活動を行って買主を探す方法です。直接買取は、不動産会社や買取会社自身が買主になる方法で、広告掲載や内覧を伴う買主募集を行わずに進む場合があります。
どちらが合うかは、価格だけでは決められません。販売期間、室内の状態、残置物、近隣へ広く知らせたくない事情なども含め、売却の進め方と契約条件を並べて確認する必要があります。
| 項目 | 仲介売却 | 直接買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 販売活動で探す | 買取会社が買主になる |
| 進め方 | 広告や内覧を行う場合がある | 査定後に条件を調整する |
| 確認したい点 | 告知内容と販売方法 | 買取条件と責任範囲 |
近所に広く知られず相談したい場合も、直接買取なら必ず秘密にできるという意味ではありません。広告掲載の有無、現地確認の方法、登記など必要な手続きまで含め、どの範囲で情報が扱われるかを確認しておくとよいでしょう。
残置物や室内状態は処分前に売却条件を確認する
家具や家電などが残っていると、先に全部片付けたくなりますが、売却先によって求める状態は異なります。残置物を残したまま査定できる場合もあるため、費用をかけて処分する前に条件を聞いておくと無駄を減らせます。
特殊清掃が必要だった物件も同じで、清掃費用を誰が負担するか、追加作業が必要かは物件ごとに確認が必要です。室内への立ち入りが難しい状態なら、無理に作業せず現状を伝え、清掃前でも査定できるかを含めて相談します。
査定時は死亡事案を含む物件情報を正確に伝える
査定額への影響を心配して、死亡事案をどこまで話すか迷う場面もあります。ただ、売主が把握している事実を伏せたまま進めると、後から説明内容や契約条件をめぐって問題になる可能性があるため、相談時から事実を分けて伝えます。
査定を依頼するときは、死亡事案だけでなく、名義、相続登記の状況、残置物、修繕履歴なども分けて伝えると、どこまで確認が必要かを相談しやすくなります。関連する書類があれば、手元にある範囲で準備しておくと説明もそろえやすくなります。
伝える内容をそろえるなら、次の項目だけでも見ておくと動きやすいですよ。
- 死亡事案の場所と時期
- 把握している死因と発見までの経緯
- 特殊清掃や修繕を行った履歴
- 室内に残っている家財や荷物
- 名義と相続登記の現在の状況
分からない項目があっても、推測で埋める必要はありません。「確認できている事実」と「未確認の項目」を分けて伝えれば、追加で調べる内容も見えやすくなります。家族間で情報が違う場合も、その違いをそのまま共有するとよいでしょう。
ラクウルでは事故物件や残置物がある物件の相談を案内している
ラクウルは公式サイトで、事故物件を買取対象として掲げています。また、室内で人が亡くなった物件や、物が残っている物件についても相談可能と案内し、問い合わせ、現地調査・査定、契約、買取完了という直接買取の流れを掲載しています。
買取実績には、特殊清掃や残置物撤去を含めて現状のまま買い取った事例も掲載されています。ただし、これは個別事例です。特殊清掃費用の負担や残置物の扱いが、すべての物件で同じになるとは限りません。
相談するときは、物件所在地、建物種別、死亡事案、室内状態を伝えます。自分の物件では何を残したまま査定できるか、どの費用や作業が条件に含まれるかを確認するとよいでしょう。現地調査前に聞ける範囲も確認しておくと動きやすくなります。
契約前は告知内容と売却後の責任範囲を文書で確かめる
査定額に納得できても、そこで確認を終えないようにしたいところです。死亡事案を契約書や告知書へどう記載するか、残置物や清掃を誰が担うか、引き渡し時の状態を文書で確認します。
また、売却後の責任についても、サービスページの表現だけで判断せず、実際の契約条項を読みます。契約不適合責任などの扱いは個別契約で確認し、免責の範囲や例外が分からなければ、署名前に具体的な説明を求めるのが無理のない進め方です。
契約までの流れは、次の順番で確認すると抜けを減らしやすくなります。
死亡事案、清掃履歴、残置物など確認できる事実を分けておきます。
不動産会社や必要に応じた専門家へ、個別事案の扱いを確認します。
買取額だけでなく、残置物、費用、責任範囲、引き渡し条件まで見ます。
口頭で聞いた内容と契約書の記載が同じとは限りません。特に「現状のままでよい」「売却後の責任はない」といった説明は、どこまでを指すのか契約書で具体的に確認しておきたい部分です。費用負担や例外も合わせて見ます。
売却では告知と売り方を一つの問題にしない
よくある失敗は、「自然死だから何も伝えなくてよい」「何年か経てば売買でも告知不要」と一つの条件だけで決めてしまうことです。国の整理は条件ごとに異なるため、賃貸の基準を売買へ置き換えないようにします。
反対に、死亡事案があるからと、売却前に高額な片付けや工事を急ぐ必要もありません。仲介と直接買取では求められる室内状態が違う場合があるため、査定前に作業範囲と費用負担を確認したほうが進めやすいでしょう。
告知の確認と売却方法を分けると次の行動が見えやすい
品川区で死亡事案のある物件を売却するときは、まず事実関係をそろえ、国のガイドラインを踏まえて個別の告知を確認します。そのうえで、区の相談窓口や専門家も使いながら、仲介と直接買取を比べる流れが分かりやすいでしょう。
事故物件という呼び名だけで急いで結論を出さず、告知、室内状態、売却条件を別々に確認していけば、次に誰へ何を相談すればよいかが見えてきます。最後は査定額だけでなく、契約書に書かれた条件まで確認して決めてください。













